性とからだの絵本『うみとりくのからだのはなし』(遠見才希子著/佐々木一澄イラスト)は性教育の基本である「皆がそれぞれの体を大切にするために、どうしたら良いか」を考えさせてくれる傑作です。
例えば「かわいいから」という理由で自分や他人の子供の頭を勝手に撫でたりすることはよく見かける行為だと思うのですが、悪気がなくても、子供が実は内心嫌がっていることって少なくないのです。私は実体験からも語れますし、大人から触られて嫌だったけど嫌だと言えずに傷ついている子供の話を嫌というほど見聞してきました。
されて嫌なことを我慢しながら子供が育つと、他人にされて嫌なことをしてもいいんだと勘違いして過ちを犯すことが往々にしてあります。
性犯罪者の多くは、幼少期に周りの大人や力が強い者から体や心を侵害されながら成長した人たちです。
だから大人にこそ読んで欲しい一冊です。
遠見才希子さんの絵本といったら『だいじ だいじ どーこだ?』の方が一般的には人気のようでAmazonで「ギフトとしてよく贈られている商品1位」だそうす。
こちらはもっとシンプルに自分の体(水着で隠れるプライベートパーツ等)を知ることに重点を置かれて描かれているので『うみとりくのからだのはなし』と併せて読むのがおすすめです。
『ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?』は両方の絵本の著者である遠見才希子さんが医大生の頃から300校以上の中学や高校で紙芝居を使って性教育の授業を行なってきた経緯や経験が綴られています。
若者を取り巻く性に関する苦悩や、それに対する著者の想いをより深く知ることができます。
『おうち性教育はじめます一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』はAmazonの保健体育の売れ筋ランキングでも1位のベストセラーで有名なコミックエッセイです。
情報が満載なのにマンガならではの読みやすさがあるのですが、P.45に出てくる下記の文にトラウマ症状が出てしまったので、安易には紹介できないと思い、長年お箱入りしていましたが、上記の絵本を読んだ後の応用本としてならと思い、この度追加しました。
親の愛情を子供に伝えるには
子どものからだにふれる
タッチング
いとおしいものとしてなで、抱きしめ、手をつなぐ子どもの言葉に耳を傾ける
リスニング
言葉をさえぎらずに耳を傾ける(顔を見て)
この2つが必要なんだ
私は両親から「いとおしいものとしてなで」られ「抱きしめ」られた記憶が幼少期からの一番のトラウマで、それがあって親の「愛情」を伝えられるのが苦痛で苦痛でたまりませんでした。
p.46には補足として
このときもちろん
プライベートパーツは触らないし
嫌がっているのに
ふれたりはしないよふれられるのが苦手な子もいる
子供が安心感を得られることが一番大切なんだ
ホッ
そばにいるだけでも
私は父からプライベートパーツを触られ、逃げたのに翌朝、母から「お父さんからめごめごしてもらったんだって?よかったねぇ」と言われながら抱き寄せられるという恐怖体験を物心ついた頃にしました。
p46まで読み進めれば、「だから私にとってp45に書かれたことが無効だったのだ」ということが理解できます。
でも、なら、大前提として、どういう匙加減や距離感で親子が接すればいいのか?
この最も基礎的なことが子供でも大人でも分かりやすく描かれているのが冒頭に紹介した『うみとりくのからだのはなし』なのです。私の世界で一番の推し絵本です。
引用し始めると、全内容を引用したくなってしまい、直作権侵害になってしまうので、ぜひ手に取ってみてください。
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