ボロいけど愛されている都内のとあるチグハグ温泉銭湯

日記

春めいてきた2月下旬、今日なら湯冷めしない気温だという日に温泉銭湯へ行きました。

そこは昔から銭湯として営業していたけど近年、温泉認定されたということで興味を惹かれました。それまでは認定されていなかった?ってどういうこと?詳細は分かりませんでしたが、銭湯価格で温泉に入れることには勝てません。温泉を謳ってるのに温泉じゃない所も巷にはありますが、その逆パターンということなのでしょうか。

グーグルレビューには「独特」と表現されていたり、好奇心を掻き立てられます。

入り口すぐ、甘酒が湯煎されている珍しい光景に、こういうこと?と思っていたら、これは序の口に過ぎませんでした。

年季の入った銭湯と対照的な若い女の子が受付をしてくれ、暖簾をくぐると、ハワイアンBGMとワイキキビーチのプリントが貼られている壁がリンク。慣れてくると、壁の色んな場所から繋がっているパイプの多さに気づく。アニメ映画『えんとつ町のプペル』を彷彿とさせるデカデントさだ。

なんて思いながら洋服を脱いでいると、いきなり体の側面が濡れたのでビックリして咄嗟に「すみません」と言ってしまった。振り向くと年配の女性が無言で体当たりしてきたようだった。思わず「ババァ」と低い声が漏れてしまった(普段、女性には何歳になってもオバさんではなくオネエさんと呼ぶよう心掛けてるのに笑)。ババァ認定は年齢ではなく、所作によるものなのかも、と考えたり。

しかし銭湯や温泉でマナーの悪い人の率が高いのはここでもお約束でした。裸の際、私の汚いところも全んぶ見せちゃえ!と開放的になっちゃうのかしら。どうか、ご遠慮お願い申し上げたいで候……。

しかしこの世界では、こういう気持ち悪い想いが、お湯に浸かるというお金以上の心地良さを得るための対価であり、仕方ないことなのだろうか……。

気持ちを切り替えて、洗い場に向かうと、今度はモザイク画に不意打ちされた。山脈を背景に、水辺に建つ赤い屋根の家々や風車、とヨーロッパのどこかのような風景。となるとハワイアンは途中から路線変更したのだろうと想像。

浴槽側の壁画はヨーロッパでもハワイでもなく、日本のどこかかもわからない抽象的な絵で、チグハグさが止まらない。また、ところどころフェイクグリーンが飾られているのだが、そのチープさもなんとも言えない。

スチームサウナ内も色んなパイプがあって、機能してること自体が奇跡と思えてくる。短時間でも、スチームの熱で顔の辺りが痛くなり、利用者が私だけだったのはそのせいかなと思ったりしたけど、レビューを見る限りこれを好む人もいるみたいだ。

お湯の温度は熱すぎず丁度いい。浴槽に温泉のミネラルの付着があまり見受けられなかったけど、温泉認定の紙が壁に貼られていて、塩素を使って消毒して濾過しているとうようなことが書かれていた。よく分からなかったけど、塩素臭いってことはなかった。蛇口の水は飲めるとのことで少し飲んだけど癖のないお味。

シャワー室の蛇口をひねると冷水が強い水圧で上下5つくらいの穴から噴射して意表をつかれるという謎設備も健在。

脱衣所に戻ると、床にハワイアンの絵が立てかけられていた。床に直置きすると掃除が大変なのに……と思いながら近くの観葉植物に目をやるとホコリが玉になっていた。古さはウェルカムだけど、掃除が行き届いてないのは許しがたい。

受付にある冷蔵庫には噂通り、珍しいドリンクが入っていて、お金をかけるところとかけないところがハッキリしていてるのが伺える。

私の両親も食には他の家庭よりお金をかける一方で、家の修繕などには無頓着だったのでデジャブを覚えてしまった。

銭湯で500円(サウナは+数百円)の商売は厳しいと思うけど、経営が80年以上続いてるのは人々に愛されているからなのだろう。オーナーさんのお人柄も良いそうだ。

出る前に靴べらを借りたら、薄いプラスチック製で先が変形していて、こんなに使い心地の悪い靴べらが存在するのかと衝撃を受けるほど。最後の最後まで個性の強さに抜かりはなかった。

しかし本当にここのファンだと主張するなら、常連さんの誰か「木製の靴べらくらい寄付してあげて…!」とは思いました。

まとめ

もう少し掃除を頑張ってもらって、お客さんも増えて、末永く続いて欲しいなと思う。

行ったことがある同士ならきっと盛り上がれる、そんな経験値をグッと上げてくれる、一度は行っておいてもいい都内の珍湯でした。

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