朝キッチンに向かう途中、玄関に可燃ゴミがドーンと置いてあった。シェアハウスのゴミ出しは当番制なので、犯人の検討はつく。新しく入居したオランダ人の女子学生だろう。
日本が初めての外国人だからしょうがない。私がイライラしているのは管理人に対してである。
このシェアハウスの管理会社(千葉を拠点にし、都内に何件もシェアハウスを「運営」していて、糸編に半という字が含まれる⚠︎)は仕事をしないことで悪名高い。仕事しないのに、「コロナが明けたから」という意味不明な理由などで急に家賃を約2万円上げてこようとたり、挙げ始めたらキリがないので割愛。
私は朝っぱらからハラワタが煮えるのを抑えながら、指示を書いたメモをゴミに貼った「Please place the garbage outside the designated location. Feel free to ask if you have any questions!」
なんで私が管理会社の尻拭いをしているんだという苛立ちは拭いきれず、管理会社に仕事をしろという趣旨のメッセージも送っておいた。もちろん、丁寧な言葉で。
実は、以前は別の管理会社が運営していたのだけど、途中でこの管理会社に変わったのだ。すると長年住んでいた住人たちが次々と引っ越していった。「管理会社がねぇ」と口を揃えてみんな出ていった。
私も引っ越しを探しているが、自分の部屋やこの家や住んでいる街自体は気に入っているし、頼れる家族もいないので、なかなか引っ越し先が見つからない状態。住む場所があるだけでも有難いことなので、たいていのことには目を瞑っている。
けど、明らかに管理人の説明不足などによって起きる現象を目の当たりにする度、不満がマグマのように噴火してしまう。玄関のたたきに敷かれたスノコに靴が置いてあるとか、炊飯器のお釜がシンクに置きっぱなしだとか、炊飯器の米を二日前から予約して陣取るとか、椅子を使った後に元に戻さないから通路の邪魔になるとか……キリがない。
新しい入居者が越して来るたびに無法地帯領域が増す。それをいちいち注意する羽目になるのは、現場にいる古株の入居者だ。でも、一々注意していたら、文句ばっかり言っている人と勘違いされてしまいかねないし、関係性にヒビがいく可能性だってある。すんなり、行動をあらためてくれる入居者ならまだいいけれど、高確率で聞かされる言い訳もダルい。だからなるべく注意をしないように心がけている。
管理会社にもごくたまにしか伝えていない。管理会社からの言い訳を聞くのはもっと疲れるからだ。
不幸中の幸い、清掃の人が丁寧な仕事をしてくれているのだけど、だらしない入居者の汚すスピードには到底追いつかない。
共有スペースの床によくゴミが落ちているのだけど、以前の私は言い始めたらキリがないと、モヤモヤしながら見て見ぬ振りしていた。
大谷翔平選手が「運を拾っている」と思いながらゴミ拾いをしている有名な話を聞いて、私も感化された1人だ。
自分も前向きな姿勢で清掃できる人でありたいと思い、他人のゴミ拾いをするようになった。ゴミを拾った後は確かに気持ちいい。それを行動に移すまでが怠いので「運を拾う」という解釈は役立つ。
私は以前、友人と店の階段を上がっている時に、紙くずが視線に入った瞬間、それを拾おうか否かを考えたけど、結局またいだことがある。
理由は「ゴミ拾いで良いカッコするのは恥ずかしい(自分は友達が思うほど偉い人間じゃないのだから、これ以上好印象を持たれたらプレッシャーに感じそう)」等と思ったから。でもその後、ずっとモヤモヤしていた。
「ゴミ拾いは運拾い」という考え方でしっくりくるところは、他人にどういう印象を与えるかに関係なく、あくまで自分のためにやっているということ。
私は拾った方が気持ちがいいから拾う。とてもシンプル。モヤモヤしない。
だから私は今朝、玄関に置かれたゴミに指示を書いて、管理会社に連絡した。自分の部屋で出たゴミを出すついでに、一昨日くらいから床に落ちて皆んなでスルーしてきた紙切れも拾って一緒に捨てた。
この記事を書く前は非常にムシャクシャしていたけれど、自分が気持ちよく暮らすためにできることをやっていたんだと気付けたら、少し落ち着いた。
ゴミ出しや分別の仕方を楽しく学びたい人には、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一ご夫婦のコミックエッセイ『ゴミ清掃員の日常』『ゴミ清掃員の日常・ミライ編』が非常におすすめです。
本のカバーを外すと表紙に悪い例として「繁華街よ集積所の日常」と良い例として「一般住宅街の集積所の日常」が描かれている。


一時期、この漫画を共有の本棚に置いてたんだけど、管理会社がいきなり皆の本を撤去して埃まみれの絨毯をその上に乗せたり、本を乱暴に扱う住人もいたりするから、今は怖くて私物をおけていません。
この場でオススメできて良かった。

しかし、ゴミ清掃員からしたら私のゴミや資源の捨て方はまだ甘いことがあるんだなと思うので、謙虚な気持ちで続けようと思います。
ゼロウェイストを目標にリサイクル率80%以上の徳島県上勝町へ見学しに行くという宣言もしておこう。
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